投資信託が値下がりした損を分配金で取り戻せる?分配金は精神安定剤という人に知ってほしい事

2017年5月9日火曜日

投資信託の注意点

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マガモ

分配金を出している投資信託がすべてダメな商品というわけではありませんが、中には分配金を出しすぎているものも……。

分配金をもらえば安心?

以前、「投資信託の基準価額が値下がりしても分配金をたくさんもらえれば損を取り戻せて安心できる」という趣旨の話を年配の方から聞いたことがあります。

金融庁の金融機関への顧客本位の商品を提案してほしいという要望や毎月分配型投資信託への厳しい目線を考えると、誤解を含んだ年配者の言葉は銀行員の方のいきすぎたセールストークの受け売りだったのでしょうか。

分配金をめぐる誤解

結論から先に言ってしまうと、分配金は必ずしも投資のもうけから出ているわけではありません。

投資信託の基準価額が下がっても分配金で取り戻せるというのは原因と結果が逆で、もうけ以上に多くの分配金を頻繁に出したので基準価額が値下がりしている可能性もあります。

あるいは単純に運用が思うようにいかなくて値下がりしていることもあります。その場合、分配金で損を取り戻すことは難しいです。

投資信託の説明書を見る

投資信託の説明書である交付目論見書を見てみましょう。たとえば、ある有名な毎月分配型投資信託の交付目論見書には、「収益分配金に関する留意事項」としてこう書かれています(※1)。

分配金は、預貯金の利息とは異なり、投資信託の純資産から支払われますので、分配金が支払われると、その金額相当分、基準価額は下がります。
分配金は、計算期間中に発生した収益(経費控除後の配当等収益および評価益を含む売買益)を超えて支払われる場合があります。その場合、当期決算日の基準価額は前期決算日と比べて下落することになります。また、分配金の水準は、必ずしも計算期間におけるファンドの収益率を示すものではありません。
投資者のファンドの購入価額によっては、分配金の一部または全部が、実質的には元本の一部払戻しに相当する場合があります。ファンド購入後の運用状況により、分配金額より基準価額の値上がりが小さかった場合も同様です。

要点は3つですね。

1.分配金を支払うとその分、基準価額が下がります
2.分配金は、もうけ以上に支払われる場合があります
3.もうけ以上に支払われた分配金は元本の払い戻しです

まとめ

投資信託は預金と違って元本保証のない商品で基準価額も常に変動するため、何らかの安心材料が欲しいという気持ちはよくわかります。

ただ残念ながら分配金は必ずしも投資のもうけから出ているわけではないので、分配金が出ているからといって運用がうまくいっているとは限りません。

先進国の債券に投資する投資信託の場合、今は世界的に低金利なので、投資信託を保有している間かかる運用管理費用が割高だと投資先の債券の利回りとほぼ変わらないか上回っていることもあります。交付運用報告書のほかに、最新の状況は月報で確認できます。

もし仮に債券の平均利回りが1%未満しかないのに、購入時手数料が2%、運用管理費用(年率)が1.5%の投資信託があったとしたら、この商品への投資は合理的と言えるでしょうか?

こぼれ話
手堅い商品を望むなら「個人向け国債」という選択肢もあります。毎月募集していて1万円から購入が可能です。年に2回、半年ごとに利子を受け取れます。

変動10年ならおおむね預貯金よりは高金利ですし、1年たてば中途解約もできます。直前2回分の利子が差し引かれますが1000万円以上でも実質的に元本保証を受けられます。

今は金利が下限の年率0.05%ですが(2017年4月募集分)、半年ごとに実勢金利に応じて適用利率が変わるので金利が上がった時にも対応してくれます。

郵便局でも購入可能ですし、一部の証券会社や銀行では一定額以上の購入でキャッシュバックキャンペーンもしています。

新興国の債券は高利回りですが通貨安で相殺されがちなので、見かけ上、高金利でも新興国債券に投資する投資信託が必ずしもお得とは限りません。リターンの高いものは相応にリスクがあります。

追記
SBI証券では投資信託の定期売却サービスが用意されています。「毎月コース」のほか、「奇数月コース」、「偶数月コース」から選択でき、年2回まで「ボーナス月コース」の設定を組み合わせることもできます。

このサービスを使うことで、毎月分配型投資信託よりも手数料の安い、指数に連動するインデックス型投資信託を毎月分配型のように利用することができます。インデックス型投資信託であれば購入時や解約時の手数料がなく運用管理費用(年率)も安いものであれば0.1~0.2%台で、内外の株式や債券に分散投資が可能です(※2)。

※1 「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」の交付目論見書5ページから6ページの一部を引用しました。

※2 アセットマネジメントOneの「たわらノーロード」シリーズ、大和証券投資信託委託の「iFreeシリーズ」、ニッセイアセットマネジメントの「<購入・換金手数料なし>」シリーズ、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」シリーズなど。




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