年金の運用成績をバランス投信(4資産均等、8資産均等、世界経済インデックスファンド)と比較

2017年7月9日日曜日

8資産均等型 バランス 世界経済インデックスファンド 年金

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前年度(2016年4月~2017年3月)の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIFウェブサイト)の運用収益は、144兆9,034億円の運用資産額に対して7兆9,363億円の黒字(+5.86%)でした。

同期間のバランスファンドの成績を年金と比較してみました。対象は「<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」、「eMAXIS バランス(8資産均等型)」、「世界経済インデックスファンド」の3つです。

年金と各バランスファンドの特徴

平成28年度業務概況書(PDF)によると年度末(2017年3月末)の資産構成割合は下の円グラフのようになっています。円の内側が基本ポートフォリオで債券50%株式50%、内外の比率は国内資産60%外国資産40%となっています。

期末の資産構成割合
業務概況書10ページより引用

「<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」、「eMAXIS バランス(8資産均等型)」、「世界経済インデックスファンド」の3つのバランスファンドの資産構成割合は下の円グラフのようになっています。

 「<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」、「eMAXIS バランス(8資産均等型)」、「世界経済インデックスファンド」資産構成割合

国内債券の比率を多い順に並べると下記のような順番になります。

年金(35%) > 4資産均等(25%) > 8資産均等(12.5%) > 世界経済(5%)

外国資産の比率を多い順に並べると下記のような順番になります。

世界経済(90%) > 8資産均等(62.5%) > 4資産均等(50%) > 年金(40%)

年金の基本ポートフォリオは市販のバランスファンドにくらべると、国内債券の比率が高く逆に海外資産の比率は低い、比較的保守的な手堅い構成になっていますね。

年金とバランスファンドのコストと成績比較

年金、 「<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」、「eMAXIS バランス(8資産均等型)」、「世界経済インデックスファンド」コストと成績比較表
ニッセイは<購入・換金手数料なし>の表記を省略

バランスファンドの成績は2016年3月31日~2017年3月31日までの基準価額の騰落率です。業務概況書のグラフの期間に合わせましたが、正確な日付ではない可能性もあるので参考値として理解してください(起点を2016年4月1日にするなら騰落率はニッセイが+6.11%、eMAXISが+5.83%、世界経済が+6.74%です)。

今回取り上げたバランスファンドの中で純資産総額が大きいのは「世界経済インデックスファンド」で242.18億円です(2017年3月末現在)。それに対し年金の運用資産額は144兆9,034億円と巨額なこともあって管理運用委託手数料は0.03%と、バランスファンドの運用管理費用よりはるかに低コストになっていますね。

「<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」を100万円分、保有していたとすると毎年3,672円の運用管理費用がかかります。これに対し年金は100万円当たり300円の負担になります。

まとめ

バランスファンドと比較しても年金は低コストで手堅く運用されているのがわかります。運用成績が振るわないと株式を減らして国内債券の比率を高めたほうがいいとの声が上がりがちなのですが、前回の記事でふれたように今期の国内債券は赤字です。

一般的に株式市場が好調な時は、リターンの低い債券は不人気になって値下がりします。逆に株式市場が不調な時は、リターンの安定した債券を欲しがる人が増えるので債券は値上がりします。もし、株式市場が不調で運用成績が低迷している時に債券比率を高めると、値下がりした株式を投げ売りして、値上がりしている債券を高値づかみすることになります。

短期の成績に惑わされず長期的な観点で運用を考えるべきとされる理由の一端には、単純化すると以上のような背景があります。テレビや新聞ではセンセーショナルに報道されがちですが、業務概況書(PDF)なども公開されていますし堅実に運用されていることへの理解が少しずつでも進むといいですよね。




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